清水エスパルス前監督ロティーナ契約解除直後のインタビュー

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ロティーナ監督、エスパルスとの契約解除直後のインタビュー

もったいぶって言う話でもないけれど、実は、2021年11月4日に清水エスパルスとの契約解除合意が発表されたミゲル・アンヘル・ロティーナ前監督は、その直後の2021年11月5日にスペインのラジオ局によるライブ配信でのオンライン・インタビューを受けている。

元々のインタビューの趣旨は、ロティーナにゆかりが深いログロニェスとデポルティーボの対戦が迫っていたため、その試合に関してロティーナの話を聞こうというものだった。

しかし、インタビュー直前にエスパルスとロティーナの契約解除が発表されたため、インタビュアーもロティーナの去就に関しても質問をし、ロティーナもエスパルスの公式発表を逸脱しない範囲で話をしている。

その後、ロティーナから日本での生活に関しても話がされた後、本題のログロニェスvsデポルティーボへ話題が移る。

<<インタビュー録画(Radio Coruña Cadena Ser YouTube)>>

Jリーグの2021年シーズンが終了し、清水エスパルスも残留を決めたので、清水エスパルスとロティーナ監督の契約解除合意後のインタビューから、エスパルス関係・日本関係などで自分の気になったコメントなどを抜き出してみた。
(ロティーナ氏の意図が誤って伝わることがないよう気を付けつつも、ロティーナ氏の発言全てを直訳するのではなく、自分の気になった部分のみを抽出し、ある程度の意訳も交えながら日本語で記載したいと思う)

尚、予め言っておくと、ロティーナ氏は清水エスパルス(及び日本で指揮した他のクラブ)に関し、批判めいたことは言っていない。

ロティーナ氏は「サッカーの世界では、うまくいかないこと、契約解除もありえる」と受け入れ、日本への愛情を交えながら、インタビューに答えているというのが自分の印象だ。

Q: スリムで健康そうですね。日本式ダイエットや運動の成果ですか?

ロティーナ:
そうじゃないんだ。1日のうち8時間以内にすべての食事を済ませるという食事方式を試してみたら、1シーズンで15キロやせたんだ。

Q: けど、残り16時間食べないってことですよね?

ロティーナ:
毎日やっていたわけではないけど、8時間以内に1日のカロリー全てを摂取するよう習慣づけた。ここでは夕食は6時・7時に食べるし、日中も軽食で済ませるスタイルに慣れたら驚くほど順調に体重が落ちて、いい感じだよ。

更に、コロナの影響でスペインから親族や友人が訪問してきて、一緒にビールを飲みながら食事をしたりってこともなくなり、妻と喫茶店でお茶やコーヒーっていうことしかできないから。

また、日本では食べてから2時間以内には寝ないように指導される。

スペインでは夜9時に夕食の席について、ビールを飲んで、おしゃべりして、10時や10時半過ぎに食べ始めるってこともあるけど、ここでは早い時間帯に夕食を済ませた後、寝るまで何も食べないから、体調にも良い影響でた。

Q:ミステル、そもそもの話として、今日は、あなたからデポルティーボ・ラコルーニャとログロニェスの試合の話を聞こうという趣旨でした。けれど、昨日、あなたの契約解除という衝撃的なニュースが飛び込んできました。

ロティーナ:
そうだね。難しい一年だった。

降格権の中にいたわけではなかったけれど、真ん中より下のあたりから抜け出せなかった。勝つべき試合で勝ち点を落としたりした。

清水エスパルスが近年苦しんでいることは知っていた。
昨年は降格が無いシーズンだったけれど、低迷していた。

けれど、清水エスパルス自体はとても良いクラブだ。
強力なスポンサーがいて、サポーターも素晴らしい。

ただ、今年は違いを作り出せる重要な何人ものブラジル人の選手たちが怪我で長期間プレーできなかったりと難しかった。

それでも懸命にチーム強化に努めたが、最後の3試合でも厳しい結果となり、クラブは契約解除の決定を下し、私はそれを受け入れた。

けど、これもフットボールの一部だし、問題は無いさ。

Q:我々は怒ってますよ。けど、こんな状況でもこの会話の機会を維持してくれてありがとうございます。まず、あなたは日本で仕事をしてきましたが、今後はどうするのですか?スペインに戻るのですか?

ロティーナ:
日本で5〜6年仕事をしてきた。
こちらはシーズンのカレンダーの関係でクリスマス時期の20日しかまとまった休みが取れない。

さらにここ2年はコロナの影響で、息子たちが私と妻を訪ねてくることもできなかったし、友人や家族とも会うことができなかった。それはとてもつらい状況だった。

コロナの影響で私と妻は、親しい人たちと会えない時間が長く続いたこともあり、来年は休みを取ることに決めたんだ。息子や、家族とも時間を取るためにね。

代理人にも、最低1年は休みを取ると伝えたよ。

けど、ミステル。その後は監督を続けていくんですよね?

ロティーナ:
私は仕事を継続する上で、いつも以下の3点を考える。

まず健康であること。

次に、自分がやっていることに情熱を持てること。
もしも世間的には定年退職する年齢になったとしても、自分がやっていることに情熱を感じるならば、それがどんな仕事であれ、自分は働き続けたい。今のところ、自分は監督業が好きだ。

そして、自分に対してオファーがあること。

これら3つが揃えば監督業を続けるだろうし、この3つのうち一つでも欠けたらやらないだろう。

Q:ミステル、デポルティーボの話をする前に、日本とスペインの比較をしたいと思います。言葉が違うって言うのはもちろんわかります。けど、それ以外、サッカーを取り巻く環境も違いますよね。スペインサッカーの環境、スペインのマスコミとか恋しくなりませんか?

ロティーナ:
いや、恋しくは思わないかな。

むしろその逆で、日本の環境が好きだ。
日本ではサポーターは試合を楽しむためにスタジアムにやってきて、選手たちに拍手を送る。
アウェイのチームにだって拍手を送る。

日本では誰かを侮辱する人はいないし、とにかく違うんだ。
サポーターは応援をする。けれど、おかしな判定をした審判にもどぎつい批判をすることはない。
スペインとは大きく違うんだ。

サポーターは他人に対する敬意を持っている。
サポーターがサッカー選手や監督にサインや写真をお願いするときは、恐る恐る控えめにお願いをしてくる。

その一方で、他人を蹴落としてでも戦うという競争心はまだ足りない部分がある。
けれど、それは仕方がない。他人を敬うようにと小さい頃から教わってきているのだから。

それでも、サッカーでは相手を罠にはめたり、蹴落としてでも戦う競争心が必要になる。その点が不足しているのを克服しようと、欧州に出て行こうという選手たちがいる。

Q:なるほど。そちらには強烈に批判的な記者とかいないでしょう?

ロティーナ:
ここでは記者会見もスペインとは違う。

日本では、ある選手が試合に出なかった場合、なぜその選手を使わなかったのか?怪我なのか?別の理由でメンバー入りさせなかったのか?などあまり質問してこない。

対戦相手の選手の医学的なコンディション情報を入手しようという習慣もない。

試合に負けたとしても、記者からまずは試合に対して肯定的な言葉が投げかけられる。

スペインの場合、スポーツではまずは各々の意見、そして情報。
けれど、日本の場合は逆で、ほぼ全てが意見などを排除した情報、そして少しの意見、という感じだ。

そしてその後、話題はログロニェス、デポルティーボ、スペインサッカーへ移っていく。

ちょっとした感想

スペイン人は家族を大切にするし、週末は家族・親戚で集まるという習慣を持っている人も多い。
そんなスペイン人のロティーナが息子に2年も会えなかったのは辛かったと思う。

コロナがなくても、外国で長年仕事をするのは精神的にしんどいのに、コロナがあればなおさら辛いと思う。だから、まずはロティーナ氏にはゆっくりと休んでもらいたい。

自分にとって特に印象的だったのは、「スペインではスポーツにおいて、まずは意見が重視され、次に客観的な情報。一方、日本ではほとんどが情報で、意見はほんの一部」という点だ。

これは自分的には興味深い。

日本では「意見があったらどんどん言え」的なことを言う人は多いが、実際に意見を言うと「あいつは文句が多い」と言う見方をされるし、ロティーナから見た日本のスポーツは「ほとんどが情報」と言うのはわからないでもない。

また、記者会見に関しても興味深い。

自分は常々、Jリーグの試合後の記者会見をネットなどで放送して欲しいと思っていた。

以前、自分がアルゼンチンのボンボネーラやモヌメンタルでサッカーを見た際、帰りの車のラジオで記者会見が流され、監督の答弁を聴きながら車内の同乗者とああでもない、こうでもないと話すのが楽しかったことを覚えている。

有料オプションでもいいので、記者会見をファンも聞けるようにし、記者が突っ込んだ質問をしないなら、視聴者が質問をできるシステムがあっても面白いのではないか、と思う。

ロティーナへの感謝

残念ながら、清水エスパルスは、以前ロティーナが監督をしていた東京ヴェルディやセレッソ大阪のように勝ち点を積み上げることができなかった。
清水サポーターとしては複雑な心境だ。

また、契約解除となる前の試合は、選手たちから覇気が感じられなかったこともあり、選手とロティーナの関係がどうだったかはわからない。

けれど、何はともあれロティーナが清水エスパルスを良くしようとコロナ禍で懸命に働いてくれたことは確かで、ロティーナには感謝している。

だから、ロティーナの契約解除が発表されたとき、エスパルス公式twitterにスペイン語で謝意を書き込んだ。

ロティーナがエスパルス公式のtweetを見るかはわからない。
けれど、少なくとも何らかの形で謝意は示しておきたいと思った。

色々とありがとうございました、ミステル。
フットボールでは、こういうことは起こり得て、これもフットボールの一部だと自分は知っていますが、こういう形であなたにアディオスとさよならを言わないといけないのは悲しいです。

けれどとにかく、我々清水エスパルスは頭を上げて前へ進みます。
あなたが人生の次のステップで、成功を納めることを願っております。

 

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