ゼ リカルドのブラジルメディアによる最新インタビュー
ブラジル時間2022年8月18日、ブラジルメディアGloboにゼ リカルドのインタビュー記事が紹介された。
これは約40分のポッドキャストのインタビューを抜粋し紹介した記事となっている。
清水エスパルスサポーターの人たちには興味がある内容かもしれないと思い、おおよその内容を以下にて紹介したい。
ゼ リカルド、バスコのために日本のクラブには2023年まで待って欲しいと伝えた。最も難しい決断だった。
日本のサッカー界で仕事をしている、ゼ ヒカルドは、日本ではゼ リカルドと名称登録され、ミステルとも呼ばれている。
2022年、ゼ リカルドがバスコを指揮し、彼の監督キャリア内でもベストと言っても良いほどの好調を維持していた中、ゼ リカルドは日本の一部リーグ清水エスパルスからオファーを受けた。
そして、ゼ リカルドは、彼曰く、「人生で最も難しい決断を下す」必要性に迫られた。
一方ではブラジルで最も偉大なクラブのひとつをプレシーズンからチームづくりを行い、2部リーグから1部リーグへの復帰を達成するプロジェクトが進行中だった。
しかし別の一方で、再び海外で仕事をするチャンスが舞い込み、家族ともに日本で生活をし、そこではバスコの上層部からは明言をされなかった継続性を持ったチームづくりを打診されていた。
ゼ リカルドはポッドキャストインタビューでこう語った。
グレミオとの試合の時期、オファーが日本から届いた。
非常に限られた時間で、ここ(日本)に来る決断を下す必要があった。
グレミオとの重要な一戦を迎えた6月2日、日本からのオファーが届いた。
そこからゼ リカルドはバスコの会長と未来に関する話をした。ゼ リカルドはバスコの会長と良好な関係を築いていたが、だからこそ会長の話し方から、バスコの株式を多く保有するアメリカの投資会社777パートナーズも含めたクラブ上層部はゼ リカルド政権を今後も続けたいのかどうかなど不透明で、ゼ リカルドの立場が今後どう変わってもおかしくない状況であることがわかった。
実際、(バスコの完全買収をも目論んでいた)777からはゼ リカルドの残留を求める動きがなかった。
ゼ リカルド
777の代理とある程度の話はした。しかし、将来に関する話はあまりできなかった。このテーマ、つまり、私がバスコで継続して仕事をし続けることに関してクラブ上層部からの明確な言及はなかった。
そういう状況を見て、自分はバスコを去った方が良いと思った。もっとも、自分はバスコで仕事をしていて、幸せだったけれど。
ゼ リカルド
人生にとって最も難しい決断だったと告白しないといけない。
バスコでは、自分の監督のキャリア上初めて、新シーズンに向けたチーム作りの時から監督として仕事をすることができたし、だからこそバスコに対する責任を感じていた。
2022年初旬のリオデジャネイロ州選手権では難しい時を過ごしたが、そこからブラジル全国1部リーグ復帰を決めるブラジル全国2部リーグでは進むべき道を進んでいるという実感があった。
しかしながら、すぐに決断を下さないといけなかった。今は、清水エスパルス、バスコ、両方にとって物事がうまく進むことを願っている。
ゼ リカルドにとって清水エスパルスでの仕事は、2回目の海外での仕事となる(1度目は2021年のカタールSC)。
清水エスパルスの監督就任直後は厳しい状況だったが、現在は成果が徐々に成果が出てきており、ここ最近の3試合は2勝1分けとなっている。現在の順位は12位だが、まずはJ1残留が今シーズンの目標であると彼は理解している。
その一方、サッカー監督として新たなチームを作っていくという使命に加え、日本という別の国で生活をすることに関しても彼は強い熱意を持っている。日本にきて2ヶ月が経っている現在、彼はホテル暮らしをしている。
日本とブラジルの時差は克服されたが、言葉の違いは、当然のことながら、一つの大きな壁となっている。
ゼ リカルド
日本人の大きな特徴のひとつとしてあげられるのは、困っている人を助けてくれるということだ。
もしも自分が、店や、道、公共交通機関でどこにいけば良いかわからない時、人々は自らがやっていることを止めてまでして、私を行くべきところまで連れて行ってくれる。
サッカーにおいては通訳がいる。通訳は我々の右腕となる存在で、多くのことを助けてくれる。我々がチームに伝えるべきことを、早く、的確に伝えるということに関し重要だ。
また、時間の経過とともに、難しいことも少しずつ減っていくと思う。
ゼ リカルドによると、鶏肉だと思って注文した料理が、実際には豚肉を使った料理だったという経験もあった。
しかしながら、自らの家で、同じ静岡県の浜松市にあるブラジル食材店で購入できるであろうブラジルの食材を使ったブラジル料理を食べられる日が来るだろう。
ゼ リカルド
家族とは海外で生活をしようと話をしていた。
プロ監督のキャリアにとってだけでなく、私の家族にとっても別の国で生活をすることで多くの経験を得られるから、海外で仕事をしたいと思っていた。
家族は自分の決断を受け入れてくれ、妻そして息子にとっても別の文化、別の言葉の中で生活をするのは良い機会だと理解してくれた。
ゼ リカルドは有名な観光地である富士山がある静岡県で生活をしている。多忙につきまだ富士山に行ったことはないが、いつか行ってみたいと思っている。
また、ゼ リカルドの目的として、日本が、以前のようにブラジル人監督にとって良い仕事先となるような状況を作り出すことだ。
例えば、エメルソン・レオンは元清水エスパルスの監督だ。
そして、ゼ リカルドが次に対戦するのは、日本のサッカー界で知られた存在であるネルシーニョ監督率いる柏レイソルだ。
妻と子供の日本への引っ越しは来年の予定だが、彼は多くのブラジル人選手たちと仕事をし、日本のサポーターからの愛情を受けている。日本ではブラジルのRの発音に馴染みがないこともあり、ブラジルではゼ ヒカルドという発音の名前が、日本ではゼ リカルドと呼ばれている。
ゼ リカルド
日本ではブラジルのRの発音に馴染みがない(難しい)こともあり、Ze Ricardoという名前がZe Ricaldoと書かれたりすることもあるけれど、選手たちは自分のことをミステルと呼ぶ。
別のコードネーム的な呼び名はないんですか?と質問されたので、プロフェソール(教授・先生)にして欲しいと言ったんだ。
だって、自分は実際にプロフェソールだからね(ゼ リカルドは教員資格を持ち、教員として働いていた時期があった)。
このように、ゼ リカルドは冗談めいて語った。
個人的感想など
ゼ リカルドは、別のインタビューや記事などでも、チームに継続性を発揮できるよう長期的にチームを指揮する機会を求めていることを言及していた。
そんなゼ リカルドがバスコを去った理由として、以下のブログ記事でも言及したように、ブラジルの777パートナーズの存在が噂されていた。
777は、現在バスコの圧倒的筆頭株主でバスコの株式の大部分を保有している。
そんな777は自らが招聘した監督をバスコ監督として迎えたいなどの意向があり、それが、安定して継続したチーム作りをしたいゼ リカルドがバスコ退団を決めた理由ではないかとバスコサポーターの一部で噂されていたが、どうやらその通りだったようだ。
安定・継続したチーム作りの機会を求めるゼ リカルドと、安定・継続したチーム作りができる監督が必要だった清水エスパルスはまさに双方の条件が一致した形だろう。
ゼ リカルドは、サポーターとして見ていてワクワクするサッカーを見せはじめているし、監督としての手腕もありそうだと個人的に感じている。
他チームからの引き抜きの動きなどが出る可能性も十分考えられるが、清水エスパルスのクラブ関係者にはなんとかゼ リカルド路線が継続できるようにワークして欲しい。
なお、記事にも出ていたZe Ricardoの名前の発音に関し、自分は以前以下のような注目をしていた。
ゼ・ヒカルドかゼ・リカルドか
ブラジル・ポルトガル語はRで始まる単語はラ行でなくハ行で発音するのが一般的。
例:
Renato Augusto ヘナト・アウグスト
Ronaldo ホナウドZe Ricardo監督の登録名はゼ・ヒカルドかゼ・リカルドかとこっそり注目。
— Diario Japonés – ディアリオ・ハポネス (@sakagogablog) June 6, 2022
上述の記事では、Rの発音が日本人にとっては馴染みがない(記事の表現を直訳すると、日本人にとってRの発音が難しい)ため日本ではゼ ヒカルドでなくゼ リカルドと呼ばれているとなっていた。
しかしながら実際のところ、清水エスパルスが設定した登録名がゼ リカルドとなったから、日本人がZe Ricardo監督のことをゼ リカルドと呼んでいるというのが現実だろう(ゼ ヒカルドと日本人はみんな発音はできるだろう)。
一方Ze Ricardoでなく、Ze Ricaldoと誤って記載されることがあるという件に関し、日本人にとってRとLの発音の区別が存在しないためこのようなLとRの表記ミスが発生しているのだろうと想像する。
何はともあれ、自分はゼ リカルド監督が好きだし、今日この後行われる柏レイソル戦でも勝ち点をとってくれることを切実に願う。
自分は現在家族の都合及び観光も兼ねフィリピンにいて、インターネット環境など色々難しいけれど、なんとかしてDAZN観戦し、清水エスパルスが勝ち点3(試合展開によっては勝ち点1)をもぎ取ってくれるようフィリピンから全力で応援したい。
そして、今シーズン、まずはJ1残留を確定させ、その上で今後強固なチームを作り上げて欲しいと切実に願う。
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