トルコに行ったらU20ワールドカップが開催されていた
2013年7月、単身トルコのイスタンブールに行った。
貯まっていた飛行機のマイルでトルコ航空の特典航空券を取得することができたからだ。
トルコに到着して、現地のニュースを見ていると20歳以下の選手たちの国際大会U20ワールドカップが開催されていて、ウルグアイが決勝まで勝ち進んでいることを知った。
サッカーファンを自認しておきながら、当時の自分は、U20ワールドカップがトルコで開催されていることを、たまたま訪れたトルコに到着してから初めて知った。
しかも、自分の取引先がいる国で、自分も出張で訪問しているウルグアイが決勝に進出していたことを知らなかった自分を恥じた。
そこで、大会公式のホームページで決勝のチケットを調べてみた。
すると空きがあり、普通に購入できることが判明した。
また、決勝戦の前には、同じスタジアムで3位決定戦も開催されるらしい。
そのため、1枚のチケットで2試合見ることができる事になる。
これはお得だと考えた自分はチケットを購入した。
そしてウルグアイの取引先へメールをし、トルコにいる自分は決勝戦を、スタジアムでウルグアイを応援する旨を伝えた。
すると、取引先から返信があった。そこには、「ウルグアイを応援してくれてありがとう。今ウルグアイではU20の決勝の話題で持ちきりで、おそらく試合の時間帯は道路に人がいなくなり、国全体がテレビで試合を見ると思う」という趣旨のコメントが記載されていた。
そして、20歳以下とはいえ、そんなウルグアイの代表が世界大会の決勝に進出し、そんな自国の代表を日本人がトルコ・イスタンブールのスタジアムで応援する、ということをウルグアイの取引先は驚いていることもメールには記載があった。
ガラタサライのスタジアムへ
U20ワールドカップ決勝の舞台は、ガラタサライの本拠地であるアリ・サミ・イェン(トルコ・テレコム・アリーナ)だった。
午後6時に3位決定戦のガーナvsイラクが開催され、その後午後9時からフランスvsウルグアイの決勝というスケジュールだった。
スタジアムへ続く通路では、ガーナ人たちがアフリカっぽいリズムで体を動かしながら歌をうたい歩いていた。
そして、スタジアムに着くと、ウルグアイ人の姿も見えた。
ウルグアイ人たちが集合写真を撮る姿を横目に、スタジアムの発券場でチケットを受け取り、スタジアムへと入った。
明らかに格がちがうU20 フランス代表のキャプテンに魅了された
3位決定戦を見終えたあと、U20フランス対U20ウルグアイの決勝がはじまった。
ウルグアイを応援するために試合を見はじめた自分だったが、すぐにフランスのキャプテンで背番号6番をつけている選手に魅了された。
決勝の舞台に立っている22人の選手のなかで明らかに一人だけ格が違った。
アフリカ系の長身でフィジカルが強そうな身なりだが、だからと言ってフィジカルに頼ったプレーというわけでもない。
がむしゃらに走ったり、スプリントの回数が突出して多い印象はなかった。
試合中、ときにゆっくりと優雅に動き、適切なポジションに移動してパスをはたいては、また優雅に動き直していた。
背筋を伸ばしてゆっくり動いているように見えるのだけれど、だからと行ってサボっているというわけでなく、ピッチ上のあちこちに顔を出しては効果的なプレーを見せていた。
ウルグアイを応援するという名目で決勝を見に来たはずなのに、気づいたらフランスのキャプテンの動きばかりを追っている自分がいた。
あれは誰だろう?
気になって仕方がなく、スマホをネットにつなげて情報を調べたかったが、当時ガラタサライのスタジアムにWiFiが無かった(と思う)。
ローミングでネットにつなぐと高額な費用になるため、スマホでフランスの6番のことを調べることができ無かったが、フランスの6番の一挙手一投足を見るたびに、自分は「うまいなあ」「いい選手だなあ」と心のなかで思っていた。
試合はフランスが押し気味に進めるも、ウルグアイが粘り強く戦った。
そして、前後半90分、延長でも決着がつかず、最後はPK戦の末フランスが2013年U20ワールドカップの優勝国となった。
キックオフが夜の9時だったためPK戦まで見終えると時刻は既に遅くなっていた。
そんななか、自分は急いでホテルに戻った。
ホテルに着くとネットでフランスのキャプテンで6番の選手を調べてみた。
すると、その選手はポール・ポグバという名前だということがわかった。
2013年当時の自分はスペイン、特にバルサの試合と、時々プレミアリーグの試合を見るという感じだったこともあり、当時イタリア・セリエAのユベントスに在籍していた若きポグバのことを知らなかった。
2013年のU20決勝メンバーたちが、2021年現在必ずしも成功しているわけではないことに気づく
2021年11月になり、2013年U20決勝のスタメンを再度見返してみた。
日本でもアンダー世代の代表が、その後フル代表に入ることもなければ、J1に所属することもないなど、いまいち大成しきれない事例はある。
だが、2013年に自分が見たのは、当時の20歳以下の世界のトップ2チームの選手たちだ。
そんな2チームのスタメンであっても、選手として円熟期ともいえる20代後半に差し掛かる2021年現在、必ずしも欧州トップクラブに所属しているわけではないことがわかった。
そればかりか、控え選手も含めて確認したところ、2部リーグや所属なしの選手も散見されることがわかった。
両チームスタメン:名前(カッコ内は所属チームとリーグ所在国)
2013年 フランスU20 スタメン
GK:
アルフォンス・アレオラ(West Ham/England)
DF:
ディミトリ・フルキエ(Valencia/Spain)
クル・ズマ(West Ham /England)
ムハマドゥ=ナビ・サール(Huddersfield Town /ENG 2nd Div)
リュカ・ディニュ(Everton /England)
MF:
ジョフレイ・コンドグビア(Atletico de Madrid /Spain )
ジョルダン・ヴェレトゥ(AS Roma / Italy
ポール・ポグバ( Manchester United / England)
フロリアン・トヴァン(Tigres UNAL / Mexico)
ジャン・クリストフ・バエベッグ(Partizan Belgrade / Serbia)
FW:
ヤヤ・サノゴ(所属なし)
2013年 U20 ウルグアイ スタメン
GK:
ギジェルモ・デ・アモーレス(Deportivo de Cali / Colombia)
DF:
ホセ・マリア・ヒメネス(Atletico de Madrid/Spain)
エミリアーノ・ベラスケス(Santos FC /Brazil)
ガストン・シルバ(FC Cartagena / Colombia)
ジャンニ・ロドリゲス(Club Atletico Villa Tereza /Urguay 2nd Div)
MF:
セバスティアン・クリストフォロ(所属なし)
フェデリコ・ジーノ(Club Atletico Aldosivi / Argentina)
レオナルド・パイース( Montevideo Wanderers/Uruguay)
FW:
ニコラス・ロペス(Tigres UNAL / Mexico)
フェリペ・アベナッティ(Royale Union Saint Gilloise /Belgim)
ディエゴ・ラクサール(Dynamo Moscow / Russia)
2013年のU20ワールドカップ決勝にスタメンで出場した選手たちは、間違いなく才能やサッカーの技術があり、その後の明るいキャリアも期待されていただろう。
にも関わらず欧州のトップで活躍する選手がいる一方で、パッとしない選手もいる。
彼らの、その後の運命を分けたものは何だったのだろう。
サッカーのスキルは大切だろうけれど、技術的にうまい選手が必ずしも大成するわけではない。
運や巡り合わせ、気持ちの強さや、辛いことがあっても気持ちを切り替えられるリバウンドメンタリティーの大小や、ゲガの有無など様々な要素が絡むのだろうけれど、つくづく、サッカー選手の運命というのは複雑で、わからないものだな、と思った。
そして、ポグバに関して。
ユベントス時代のポグバはチームの主軸として圧倒的な活躍だったけれど、マンチェスター・ユナイテッドに移籍してから何かと非難をされている印象がある。
もちろん、マンチェスターでも良いプレーは見せているのだろうけれど、ユベントスやフランス代表でプレーするときほどの輝きは無いような報道のされ方をしている。
自分がU23決勝で見たポグバは圧倒的だった。
すさまじいポテンシャルだと思った。
あの日ポグバを見た自分としては、所属クラブでもそのポテンシャルを最大限発揮し続けてほしいと切に願う。
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