ワールドカップの日本戦に飛行機欠航で間に合わない可能性が出た話

日本代表

DAZN

2014年ブラジル・ワールドカップ 観戦チケットと航空券を購入

いつかワールドカップを現地で観戦したいと思っていた。
しかし、お金や時間がかかることもあり、実行するのに二の足を踏んでいた。

けれど、気づいたら自分も30代後半に入っていた。自分は独身だったが、何かの拍子に結婚し子供ができたらワールドカップ観戦どころではなくなってしまうかもしれない。

そう思った自分は意を決し、2014年のブラジルワールドカップを観に行くことにした。

サラリーマンであった自分は、ワールドカップを現地観戦するのが長年の夢だった旨を勤務先の色々な人たちに説明し、同僚や上司の理解を得ることに成功した。

とはいえブラジルに長期滞在し、何試合も観戦する、というのは色々な意味で非現実的だった。

そんななか自分は、短時間であっても生でワールドカップの雰囲気を感じ、かつサラリーマンとして現実的な旅程を組めるという理由で、1試合のみを観戦という作戦に出ることにした。

日本代表vsコートジボワール代表の観戦チケットを購入

FIFAの公式サイトでワールドカップのチケットの販売が始まると、自分は、ブラジルのレシフェで開催される日本代表vsコートジボワールのカテゴリー1のチケットを購入することにした。

日本が初めて出場した1998年のフランスワールドカップや、2002年の日韓ワールドカップでは凄まじいチケット争奪戦が繰り広げられた記憶があった。

そのため、多くの人がサイトに殺到しチケット購入サイトがダウンする、もしくはチケット倍率が高く購入できない可能性もあると心配したが、拍子抜けするほどあっさりと公式サイトでチケットが購入できた。

問題は、航空券とホテルだった。

高騰する航空券とホテル

ワールドカップの組み合わせが決定し、観戦チケットの公式販売が始まったあとに航空券を買おうとしたら、既に価格が高騰していた。

日本からブラジルに入る場合、ヨーロッパ経由でなく、アメリカ経由の方が安い傾向にあったが、観戦チケットを抑えた後、レシフェでの日本対コートジボワールの試合に間に合うアメリカ経由の飛行機の価格はエコノミークラスであるにも関わらず百万円くらいの値をつけているものもあった。

通常であれば、エコノミークラスはブラジルまで20万円台、高くても30万円台だったから、3倍以上の価格になっていたことになる。

欧州経由であっても、総じて航空券は高騰していた。

必死に航空会社の公式サイトや航空券比較サイトなどを研究していると、ポルトガルのリスボンからブラジルのレシフェに直行便があることがわかった。

リスボンからレシフェの往復の代金は1,200ユーロくらいで、高いことは高いけれど、高騰しているとはいえない常識の範囲内の値段だった。

それを踏まえ、東京から何とか安くリスボンまでいける手立てがないかと探した。
すると、当時けっこう貯まっていたマイルで、東京とドイツのフランクフルト経由ポルトガルのリスボン往復が、マイルでの特典航空券(空港使用料などは支払うが、航空券の代金は無料)を入手できる空きの枠があることに気づいた。

これは抑えるしかない!
かくして、航空券は相場に比べればはるかに安い価格で入手できた。
(リスボン-レシフェの往復1,200ユーロ+東京-リスボン間の空港使用料のみ<航空券本体は無料>でレシフェまで行けることになった)

次の頭痛の種はホテルだった。
レシフェにはホテルの数が限られていたのか、ほぼ全てのホテルが満室か、空いていたとしても通常一泊1万円台という雰囲気の部屋が一泊8万円かそれ以上という価格の高騰ぶりだった。

色々と考えた挙句、自分はレシフェの海岸地区エリアのボア・ビアージェンで、Airbnb経由で民泊という形でマンションの一室のベッドを確保した(一泊1万8千円かそれ以上と、それなりに高くなったが、ホテルに泊まるよりは安くなった)。

色々と出費がかさむことにはなったが、自分にとって「死ぬまでにやっておきたいこと」のひとつだったワールドカップを生で見るという目標が実現するかもしれないと考えるとワクワクした。

TAPポルトガル航空TP0017便 欠航

レシフェに行くまでのスケジュールは下記のようにした。

順調にいけば現地時間6月14日キックオフの試合の3日前の夜だが、万が一飛行機の欠航などが発生しても試合には間に合うようなスケジュールを組んだつもりだった。

フライト1
6月10日(火)  LH717 東京(羽田) – フランクフルト 14:05発18:45着 フライト2
6月10日(火)  LH1172フランクフルト – リスボン 21:00発23:00着
(6月10日夜はリスボン宿泊)
フライト3
6月11日(水)TP0017
リスボン-レシフェ
16:40発20:40着

ポルトガルに着くまでは順調だった。

6月10日の夜遅くにリスボンに到着すると、タクシーで予約してあったホテルに向かった。
タクシーの運転手は、ポルトガルの旧植民地で公用語がポルトガル語であるアフリカのアンゴラから人で、そのアンゴラ人とポルトガル語で会話を楽しみながらホテルに向かう余裕があった。

だが、その翌日の6月11日、ブラジルのレシフェ行きのフライトに乗るべくリスボンの空港に着くと、問題が発生した。

レシフェ行きのTAPポルトガル航空TP0017便が欠航になっていた。

6月11日の夜の民泊を予約し、既に代金は支払い済みだったため、一泊分無駄金を払ったことになる。それは癪だったが、事情を説明するために、Airbnb経由で予約してあった民泊のホストにメッセージを送るとともに、念の為ポルトガルからブラジルに国際電話をかけ欠航のため予定通りにつけない旨を民泊のマンションのオーナー夫婦に電話をした。

航空会社の説明によると、リスボン行きの代替えフライトは翌6月12日の早朝になるとのことだった。

TP0017便の搭乗予定者は、ポルトガル航空の職員の先導のもと全員バスに乗せられ代替えフライトまでの待機するための場所としてリスボン・マリオットホテルに連れて行かれた。

そして、航空会社職員から、(正確な時間は覚えていないが)代替えフライトに乗るため、早朝3時など一度寝て再び起きる、というのには一番微妙な時間帯にロビーに集合するように言われた。

飛行機の欠航や、予定通りにブラジルに着けないことでブラジルで予約してあった一泊分の宿泊費が無駄になることなどはショックだった。

とはいえ自分は、その前年の2013年FCバルセロナ対レアル・マドリード観戦のための飛行機がキャンセルになり、クラシコが見れないかもしれないという経験をしていた。

念願のバルサ対レアルのクラシコ観戦の飛行機がキャンセル
1990年代にいつかクラシコを見たいと夢見て依頼、長年の念願だったクラシコ観戦がついにかなうという直前、バルセロナに行くための飛行機がキャンセルになりテンパった話。

そんな自分は、「それでも試合の2日前にはレシフェにつくだろうし、人生こういうこともあるだろう。リスボンに滞在することになったのだから、その分リスボン観光でも楽しむか」と思える余裕があった。

飛行機の更なる遅延

期せずしてリスボンに滞在する時間ができた自分は、ポルトガルの名門ベンフィカの本拠地エスタヂオ・ダ・ルスのスタジアム見学ツアーに参加することにした。

Estadio da Luz

選手ロッカー

 

 

 

 

 

英雄エウゼビオの像

スタジアムツアー観戦を終え待機のホテルに戻ると、航空会社から用意された食事を食べ、一度寝た。そして、航空会社から指定された早朝3時くらいにホテルのロビーに降りた。

しかしながら、一向に空港へ出発する雰囲気にならない。
更にしばらくすると「代替え便の準備が予定より遅れている」との説明があった。

そのあと、更にまあまあ長い時間ホテルで待たされることになった。
そしてついに、2014年6月12日午前、航空会社職員の指示のもと、レシフェ行きの飛行機に乗るためにリスボンの空港に向かうこととなった。

全乗客が搭乗後、突然若いアジア人のカップルが飛行機から出て行った

ふたたびチェックインや、荷物を預けるための手続きなどを済ませ、やっとのことレシフェ行きの飛行機への搭乗がはじまった。

そして、乗客全員が座席につき航空会社の係員が飛行機のドアを閉める直前というタイミングで、突然、自分の斜め左前あたりに座っていたアジア系(中国系の雰囲気だった)の若いカップルが立ち上がったかと思うと、突然ふたりが急ぎ足で飛行機の外に出て行った。

へんなふたりだな、と思ったが、「あのアジア人カップルは、喧嘩でもしてブラジルに行く気分じゃなくなったのかもしれないな」と考え、自分は飛行機から出て行ってしまった若いアジア人のことなど気にしなかった。

とにかくこれで、やっとレシフェに行ける、とほっとした気分になっていた。

だが、そうは問屋が下さなかった。

度重なる遅れ

アジア人ふたりが飛行機から出たあとしばらくすると、航空会社よりアナウンスがあった。
内容は以下のようなものだった。

搭乗手続きを終えた乗客2名が、突然飛行機から去った。

航空会社の安全規定に基づき、万が一の事態に備え、安全確認を行う。

そのため、乗客全員は手荷物とともに飛行機の外に出てもらう必要がある。

安全確認の結果、問題ないと判断された場合、再度、乗客は飛行機の中に誘導される。

機内が騒然となった。

欠航そして繰り返される遅延案内を我慢し、やっと飛行機まで辿り着いたと思ったら、また飛行機の外に追い出されることになるなんて。

こんなこともあるのかと、驚いた。

確かに、冷静に考えると飛行機から出て行ったふたりは怪しい。
飛行機の座席に一度座った乗客が、突然飛行機から去ってしまうなんて普通じゃない。

ふたりにはテロなど何らかの意図があるのかもしれない。
若いアジア人の男女が、飛行機の頭上収納スペースなどに爆発物を仕込んだあと、急いで機内から立ち去ったなどの可能性も排除できない。

とはいえ、飛行機の外に出ろだなんて、ひどい話じゃないか、と思った。
度重なる遅れの末、やっと飛行機に乗り込んだのに、振り出しに戻された気分だった。

けれど、従う以外に道はない。

自分も含めた乗客は、渋々飛行機の外に出た。
航空会社からは、念入りに安全確認を行う必要があるため、すぐの再搭乗は難しく、乗客はしばらく外で待機する必要がある旨説明があった。

6月14日の試合を見るために、6月11日夜レシフェ着の飛行機をアレンジしたはずなのに。
厳密な安全確認をするために、別の飛行機を手配するとか言い出したら、更に時間がかかり6月12日中もレシフェに行けない可能性も考えられる。

なんてことだ。
最初で最後のワールドカップ観戦になるかもしれない1試合を、見ることができないかもしれない。

暗澹たる気持ちになった。

<<つづく>>

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