はじめてのFCバルセロナvsレアル・マドリード観戦
1990年代に海外サッカーを見るようになって以来、カンプノウでFCバルセロナ(バルサ)対レアル・マドリードのクラシコを見るのが、自分にとって死ぬまでにやっておきたいことのリストのひとつだった。
しかし、金銭的もしくは時間的な問題でなかなか実現できなかった。
そんななか、2013年、ついにクラシコ観戦のチャンスがやってきた。
観戦チケットを確保 バルセロナ行き航空券も購入 だが・・・
バルサのチケットを定価購入するためには、大きく分けて以下の2段階の方法がある。
以下のいずれもFCバルセロナ公式サイトの「チケット」から購入可能
1) 一般販売枠で購入
2) Seient lliure (試合数日前から発売の追加販売枠チケット)
その試合に行けない(行かない)年間シート保有のソシオが、クラブへ自らの
座席の払い戻し手続きを行い、クラブがその座席を試合数日前から追加枠として
一般販売する制度。
クラシコなど人気カードは公式サイトのチケット購入ページで売り切れ状態が表示されることが多いが、試合直前になると、クラシコであってもけっこうな数の座席がこのシステムで追加販売されることが多い。
上記の手段で定価でも買えたと思うが、自分は縁あってバルセロナの友達の友達から座席を譲ってもらい、観戦チケットが確保できた(いくばくかの謝礼は払ったが)。
また、試合日2013年10月26日の前日の10月25日にバルセロナに到着する航空券も購入した。
そして、バルセロナに向かう飛行機に搭乗する日がやってきた。
日本からの飛行機がキャンセル
自分のバルセロナ行きの旅程は、以下の通りだった。
10月25日(金)12:15 全日空(ANA) NH207 成田発
10月25日(金) 17:25 ドイツミュンヘン着
フライト2
10月25日(金)19:30 NH6077(ルフトハンザ運航)ミュンヘン発
10月25日(金)21:30 バルセロナ着
スターアライアンス系の航空会社が集まっている成田空港第一ターミナルで入国審査等を済ませ、自分は全日空(ANA)のNH207便の搭乗ゲートの向かった。
そして、搭乗のアナウンスが流れると、自分はNH207便の飛行機の中に入った。
自分の座席に着席すると、自分は飛行機が動くまでスマホをいじったり、読書をしたりしていた。
しかし、乗客全員が着席をしても、飛行機がなかなか動かない。
自分は何度も飛行機に乗っていたから、どれくらいのタイミングで飛行機のドアが閉まり、どれくらいのタイミングで飛行機がゆっくり動き出し、機内の安全システムを紹介するビデオが流れるとか体感的にわかっていた。
けれど、その日は一向に飛行機が動く気配がなかった。
最初は、離陸のタイミング待ちの飛行機がつまっているのかなと思ったが(そういう事例も時おりある)、その飛行機は一向に動かない。
そしてついに、こんな趣旨のアナウンスが流れた。
そのアナウンスが流れてしばらく待った。
しかし、飛行機が動き出す気配がない。
さらに時間が経った。ミュンヘンでの乗り継ぎ時間は2時間あるが、この遅れだと間に合わない可能性が高い。
そんなことを考えていると、下記趣旨のアナウンスが流れた。
皆様の安全のため、この飛行機での運航はできません。つきましては、このフライトはキャンセルとなります。皆様、機体の外へ出て、弊社係員よりの連絡をお待ち頂けますよう宜しくお願い致します。
成田から羽田へ
搭乗ゲートに戻されると、予定を狂わされた多くの当惑しながら空港職員と話をするために列を作り、全日空の職員が対応に追われていた。
自分が空港職員と話す番が来ると、現地時間10月25日中にバルセロナに到着できる代替え便はないか質問した。
航空会社の職員が調べた結果「無い」という結論が下された。
自分は必死に訴えた。
「自分は長年バルセロナでFCバルセロナ対レアル・マドリードの試合を見ることを夢見てきたんですよ。現地時間で10月25日中にバルセロナに着けないんですか?試合は現地時間で10月26日なんですよ。責任を持って代替え便を飛ばしてくださいよ!」
しかし、航空会社は「我々の責任は、目的地にお客様を運ぶことだけです(定刻通りに飛行機が飛ばないこともありますが、その点に関しては責任を負えません)」という趣旨のことを言った。
クレーマーと言われようが、関係ない、と思った。
自分は必死に食い下がった。
そこには、若干演技を入れてでも、必死さを見せないと航空会社は自分に対する優先度を下げるかもしれないという計算も働いた。
自分にとってバルセロナに至急到着することがいかに重要かを説明し、より良い条件の代替え案を航空会社から引き出さないといけないと思った。
「なんとかしてくださいよ!10月26日の夜の試合を絶対に見る必要があるんですよ!」
すると、自分の後ろに並んでいた若い日本人カップルのうちの男性が、自分に声をかけてきた。「クラシコを見に行くんですか?自分たちも一緒です」
更に、その近くにいたスペインから日本に出張できていたという紳士も「自分もクラシコを見る予定なんだ」と自分に話しかけてきた。
「何とかして欲しいですよね」と自分は若い日本人カップルと、スペイン人紳士に言った。
スペインから出張で日本に来ていた紳士は自分に言った。「自分はバルサの熱狂的なファンなんです。毎年クラシコを楽しみにしているし、それは今年のクラシコも例外ではない。なんとかして試合に間に合うようバルセロナに帰る必要があります」
「そうですよね。なんとか間に合うよう、バルセロナに着けるよう、全力を尽くしましょう」
バルセロナ出身の紳士にそう言うと、自分は航空会社職員に、バルセロナに行かないといけない理由をさらに必死に訴えた。
すると、航空会社職員が更に色々と調べて、自分に提案してきた。「今夜、羽田からフランクフルトに行く便があります。それに乗って頂き、フランクフルト乗り換えでバルセロナに行っていただけます」
自分は目を見開いていった。「本当ですか?10月25日中にバルセロナに着けるんですか?」
航空会社職員は言った。「いいえ。10月25日中に到着できるフライトの組み合わせはありません。10月26日の午前にバルセロナ到着です。サッカーの試合は10月26日の夜ですよね?試合には間に合います」
「けれど」と自分はいった。「今日の夜、10月25日の夜の分のバルセロナのホテルを既に予約してあるんですよ。その分のお金はどうなるんですか?保証してもらえないんですか?フライトキャンセルで、こちらの予定を狂わせていんですから、別のチケットを手配するだけでなく、無駄になった一泊分くらいなんとかしてくださいよ」
しかし、航空会社の職員は、事務的に、突き放すようにこういう趣旨のことを言った。「私たちの役割は、目的地までお客様をお届けすることです。定刻通りの運航を目指しますが、スケジュール通りに運航できない場合でも、その責任や損害を背負うことはできません」
「そんな・・・」と自分はいった。いつも感じよく丁寧に微笑んでいる印象がある航空会社の職員が、冷酷に見えた。
備考:
フライトキャンセルに関し、他の航空会社のスタンスも似たような雰囲気で、全日空が特にひどいわけではない。
他の航空会社がキャンセルを出す際も、航空会社から「我々の責任はお客様を目的地まで運ぶことだけです。定刻に着けないとしても、我々は責任は負えません」という態度が透けて見える。
特に米国系のキャンセル対応はドライかつ、ある意味突き放すような対応で、代替え案や、代替えフライトの時刻まで待機するホテルの案内も不親切だったという思い出がある。
「どうされますか?」と航空会社職員。「ここで羽田発深夜のフランクフルトを抑えますか?もしもこれが受け入れられないという場合、他の方にこのフライトを回すことになります」
自分は納得がいかなかった。
とは言え、別に選択肢もないと思った。
あきらめるように、自分は言った。「わかりました。それを羽田深夜発のフランクフルト経由、バルセロナ10月26日午前着を抑えてください」
人生初めての出国取り消しスタンプ
羽田の深夜便の航空券を受け取るときに、航空会社から羽田から成田に向かうリムジンバスのチケットを受け取った。
その後、空港職員に促され向かった先で、パスポートに「出国取り消し」のスタンプを押された。
成田発NH207を乗るために、一度出国手続きをしパスポートにも出国のスタンプが押されたが、その出国を取り消すというスタンプがパスポートに追加で押された。
こんな出国取り消しスタンプを押されたのは初めてだったので「こんなスタンプもあるんだ」と少し驚いた。
バスからの車窓を眺めながら、幸先の悪いスタートだな、と思った。
そして、今回、はじめてのクラシコ観戦を前にして、盛り上がる気持ちに、冷水を掛けられたような気持ちになった。
自分はバルセロナと相性が悪いのだろうか。
この先さらに、飛行機が再び遅れ、クラシコに間に合わないとか、バルサがひどい戦いで負けるとか、そういうことがあるのかもしれない、と心配になった。
<<続く(下の記事へ)>>
コメント