アトレティコ・マドリー監督ディエゴ・シメオネ、ルイス・アラゴネスへの公開レターを執筆
シメオネが自らのSNS上にて「親愛なるルイス」という長文のレターをアップした。
突然のことで、何事かと驚いた。
一部スペインメディアは、アトレティコ・マドリーがシメオネの後任監督としてルイス・エンリケに興味を持っている的な記事を書いていたから、それに関する内容かとも思った。
そしてシメオネの手紙を読んでみた。
すると、それは、シメオネが、日本時間3月5日早朝開催のホームでのセビージャ戦で、故ルイス・アラゴネスが持つアトレティコ・マドリーの監督として612試合指揮という記録を塗り替えるに際し、シメオネからのルイス・アラゴネスに対する公開レターだった。
個人的にとても感動的な手紙だったので、日本語訳を紹介したいと思う。
シメオネの公開レター、日本語訳
親愛なる、そして永遠のルイス
私はこういうことをするタイプの人間でないこと、この種の感情表現を世間に向けてするタイプの人間でないことを、あなたは知っていますよね。
けど、今日はそれをしたいんです。
溢れ出る涙と、抑えきれない感情、そして何よりも、あなたに対する尊敬をあなたに伝えるために、この手紙を書き始めようと思います。
明日、自分が、あなたの持つ記録、あなたと私が同じ経験を共有している、愛するアトレティコ・マドリーの監督として612試合の指揮という記録を超えることに、信じられない気持ちでいます。
間違いなく、私にとって忘れられない日になるでしょう。
それはあの日、あなたがセビージャの監督で、私がセビージャの選手だった、あの日のように忘れられない日になるはずです。
あの日、セビージャでプレーしていた私は、監督のあなたに「アトレティコ・マドリーに移籍したい」と申し出ました。すると、あなたはこう言った。「それで?ためらうことなんてあるのかい?」
ルイス、あれから、約29年が経ちました。
けど、それ以来、あなたのような人たちのおかげで、このクラブに対する愛情と情熱を持ち、それを継承することができています。
明日、多くの歓喜を私たちに与え、今も私が座ることができる、あのベンチで、再び色々なことを感じることになるでしょう。
そう考える一方、本当にこれが現実かなという気持ちもあります。
けれど、あなたがたどった道のりを、自分も歩むことができるのは素晴らしい特権だと、誇りを持って言うことができます。
これまで、自分はただベストを尽くすことに努めてきました。
あなたは、私を知っていますよね。そして、私が今引き受けている責任や、私が果たすべき人生において最も大きな義務を。
私が今やっていること、それを大きな希望と、このクラブそして私に愛情を注ぎ続けてくれるサポーターに対する最大限の敬意を持って続けます。
なぜなら、私たちは、同じエンブレム、同じ人生を共有できるこの家族、アトレティコ・ファミリーに属するという幸運を得ることができたのですから。彼らに対する感謝の気持ちを十分に示し切ることができないとすら感じています。
ルイス、これまで、自分は幸運でした。
ハングリー精神と、義務、献身、そして何よりも私や我々の考えを信じてついてきてくれた選手たちと仕事ができ、本当に幸運でした。
あなた、そして私は、それがこの仕事においてどれだけ難しいことか知っていますよね。
また、私は、私を良い監督にしてくれた、スタッフたちにも恵まれました。あなたは、私がいつも一緒に仕事をしてきたような、優れたコーチングスタッフを持つことが、どれだけ大切か知っていますよね。
クラブに属する人たちが、我々のプロジェクトの意図を理解し、日々の私たちの仕事をより良いものにしてくれてます。
もちろん、これらの仕事は、私たちに寄り添い、私たちを支えてくれている、ミゲル・アンヘル・ヒルや、エンリケ・セルソ、そして他のクラブ上層部たちの決断や信頼無くしてはなし得なかったことです。
ルイス、ここにいる人々皆のおかげで、私の哲学はより盤石なものになっています。
親愛なる、そして永遠のルイス
あなたのような人物、そしてこのクラブのために貢献してきてくれた他の人たちの価値は、日々私たちを、より競争力のあるチームにするよう全力を尽くすための気持ちを盛り立ててくれます。
私はアトレティコ・マドリーはあなたの人生であったことを知っています。
そしてあなたは、アトレティコ・マドリーが私の人生であることを知っていますよね。
だからこそ、私は、この瞬間に光を当てたかったんです。
だって今日、あなただけが、私の気持ちを理解できるのですから。
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