何とかW杯開幕日・日本戦の2日前レシフェ到着
前回の記事で書いたように、ポルトガルのリスボンから日本対コートジボワール戦の会場レシフェに向かうフライトの欠航や度重なる遅延に巻き込まれた。
しかしながら、その後何とか飛行機は飛び、試合日の2日前2014年6月12日の昼の時間帯にはブラジルのレシフェに到着することができた。
後でわかったことだが、2014年ワールドカップの日本対コートジボワール戦が行われた週、自分が搭乗した日以外でも、TAPポルトガル航空のリスボン-レシフェ間のフライトはほぼ毎日といっても過言ではない頻度で欠航や遅延があった。
たとえば、宮根誠司は日本代表の試合前日あたりにTAPポルトガル航空でリスボンからレシフェ入りをし試合観戦を目論んでいたが、リスボンからレシフェへのフライト欠航により、宮根誠司は、せっかくレシフェまで行ったのに日本対コートジボワール戦が見れなかったと報道された。
自分は6月11日にブラジル行きを予定していたところが一日遅れの6月12日着で済んだが、もっとタイトなスケジュールにしていたら試合を見れなかった可能性があった。
ブラジルで民泊
ワールドカップ中のレシフェのホテルの値段は異様に高騰していたから、Airbnbの民泊で宿泊地を確保した。
民泊とはホテルとは違い、マンションや一軒家などのオーナーにお金を払い、空いている部屋などに宿泊するシステムだった。
レシフェの民泊は安いものから高いものまであったが、あまり安すぎるのも不安だった。
そのためレビューを比較したり、ネットで立地その他情報を調べ、総合的に判断して決めた。
タクシーで指定された地図の住所に向かうと、そこはレシフェのビーチ目の前に建っている良さげなマンションだった。
自分が泊まる部屋のオーナーが建物の入り口にいる守衛に、日本人が泊まりに来る旨を説明してあったため、エレベータに乗ることを許され部屋に向かった。
すると、スペイン人の夫とブラジル人妻という夫婦が迎え入れてくれた。
窓からビーチが一望できる素敵なマンションだった。
トイレ、シャワー、リビングなどは自分も使って良いと言われたが、自分が主に時間を過ごすのはベッドルームのひとつという感じだった。
スペイン人夫はスペインのバルセロナ出身で、FCバルセロナのファンだった。
自分もバルサが好きで、前年の2013年にはクラシコを見にバルセロナまで行ったことを説明すると、スペイン人の夫はとても喜んでくれた。
到着後、サッカーの話題で盛り上がり、すっかりとオーナー夫婦とも打ち解けることができた。
ボアビアージェンのあたりを散策
荷物を整理し、シャワーを浴びた。
マンションのオーナー夫婦はふたりともレシフェのスタジアム運営の仕事に携わっていて、自分を部屋に迎え入れた後、仕事に行けないと行けないらしい。
レシフェのスタジアムに行って、帰りは遅くなるとのことだった。
自分は合鍵をもらい、宿泊するマンションの近辺を散策することにした。
マンションのすぐ目の前のビーチでは人々が海に入ったりして遊んでいた。
ブラジルは南半球にあるため、日本とは真逆の季節感になる。
12月や1月は夏のバカンス季である一方、6月は涼しさが出る季節だ。
サンパウロやポルト・アレグレなどブラジルの南の方では気温が涼しく、長袖が必要だっただろう。
しかし、赤道に近いブラジルの東北部に位置するレシフェは、6月でも半袖一枚でも充分な気温の高さだった。
(日本代表の試合はブラジルの熱い地域での試合であったにもかかわらず、ベースキャンプ地は涼しい土地であったことが災いしたのではないか、ということは追って書こうと思う)
防犯対策として半袖・短パン・サンダルという軽装に、最小限のお金とクレジットカード一枚とスマホだけをポケットに突っ込み、ポケットに手を入れながらぶらぶらとマンションのあたりを散策した。
2014年ブラジル・ワールドカップ開幕
開幕戦のブラジル対クロアチアは、宿泊していたマンションから歩いて行ける距離に見つけたレストランで、ビール片手に観戦することにした。
地元のブラジル人たちが、なぜか前回大会2010年の開催地の南アフリカでよく使用されていたブブゼラを持ち込み、時折ブブゼラを鳴らしながらテレビに向かって声援を上げていた。
ワールドカップ前、ブラジルでは「ワールドカップに多額のお金を使うより、国民の福祉や教育などにお金を使うべきだ」という声が強く、ワールドカップを冷めた目で見ているという報道もあったが、やはりブラジルの試合は気になるようだった。
そのレストランには世界各国からサッカーを見るためにブラジルに来たであろう外国人もいた。
自分は近くの席に座っていたニュージーランド在住という30代半ばから後半の自分と同世代に見えるイギリス人と意気投合し、ワールドカップの試合を見ながら、時おりサッカー談義をしながら大いに盛り上がった。
そのイギリス人は当時イングランド2部に所属していたが、その前はプレミアで旋風を起こしていたリーズユナイテッドのファンだった。自分はハリーキューエルやマーク・ヴィドゥカという強烈なアタッカーを擁していたリーズの試合を見ていたことを話すと、イギリス人はとても喜んでくれた。
また、そのイギリス人は、会社の上司や同僚に長期にわたり「ワールドカップを観戦するのが自分の夢だった」旨を説明し、会社の理解を得て、ワールドカップ行きを実現させたと言っていた。
自分も彼と同じく、会社の人たちに「いかに自分がワールドカップに行きたいか」を熱弁し、ワールドカップのために休みを取ることの理解を得ていた。
ただ、自分とイギリス人の彼の違いは、自分が日本対コートジボワール戦の1試合のみ観戦なのに対し、彼はレシフェで行われる全ての試合を観戦する、ということだった。
1試合だけ見て帰国する自分が、少し悲しかった。
だが、ブラジルについてまだ1日目だが、ワールドカップの開催国にいるという高揚感は凄まじかった。
自分はそれまでにも外国に行ったことはあったし、海外の大きなスタジアムでビッグマッチを見たこともあったが、ワールドカップ特有の高揚感は特別だった。
ワールドカップを観に来て良かった、と心の底から思った。
レシフェ観光
レシフェ到着2日目、日本対コートジボワール戦前日は、ボアビアージェン地区を出て、旧市街などレシフェの別地区を敢行した。
日本よ、ブラジルのサッカーと君の国の教育を交換したい
観光地を歩いていると一枚のTシャツが目に入った。
Tシャツには、こう書いてあった。
日本よ、ブラジルのサッカーと君の国の教育を交換したい
ワールドカップよりもブラジル国民の福祉や教育にお金を使うべき、という意見を反映したTシャツなのだろうが、メッセージ性が感じられるTシャツだった。
値段も高くなかったから記念に一枚購入することにした。
そして、観光を終えるとボアビアージェンに戻り、昨日と同じレストランに行き、ワールドカップの試合を見た。
店内には友人知人と一緒に試合を見ようというブラジル人や海外からやってきた人たちがいた。
そして、昨日意気投合したイギリス人もいた。
サッカーに熱狂する空気のなか、ブラジル到着2日目もワールドカップの高揚感を楽しんだ。
そして、その翌日の日本対コートジボワール戦が楽しみで仕方がなかった。
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