ガーラ・チャルーア
サッカーウルグアイ代表の精神を紹介する際に、「ガーラ・チャルーア」という表現が使われることがあります。
直訳するとチャルーアの爪もしくはチャルーア族の精神となりますが、そこにはウルグアイの人でないと真意を感じ取れないであろう多くの意味が込められています。
そんななか、ざっくりとしたニュアンスを伝えるならば「不利な状況にあっても相手に勇敢に立ち向かう精神」となります。
ウルグアイの先住民族のチャルーアは、武力・経済力・人数でまさるスペインなど外からの侵略者に対し、勇敢に立ち向かう姿勢を崩さなかったと言われています。
そんなチャルーア族のように、自分たちよりも規模が大きく優位な相手に対峙するなど、厳しい状況であっても、相手に爪痕を残すべく立ち向かう勇敢さや、諦めない気持ちが「ガーラ・チャルーア」という表現に込められていると考えます。
このガーラ・チャルーアもウルグアイを理解するのに大切な表現です。
ちなみに、ウルグアイ代表の現キャプテンのディエゴ・ゴディンと元キャプテンのディエゴ・ルガーノは、ウルグアイのセメント会社の経営に関わっており、その会社名はCEMENTOS CHARRUA (チャルーア・セメント)となっています。
シンガポール、フィンランドなど人口が少なくても独自性がある国々のように
既述のように、人口の大小は経済発展に大きく影響します。
しかし、世界には人口が少くても独自性を活かして存在感を示している国がいくつかあります。
たとえばシンガポールは約570万人の人口ですが、様々な産業のハブとして世界で注目されています。
また、人口約550万人のフィンランドはデザインや、教育、ライフスタイルなどユニークかつ洗練された国として注目されています。
ウルグアイも、シンガポールやフィンランドとは別の形で、人口が少なくても存在感を示しています。
たとえば、教育水準は南米で一、二を争うレベルです。
経済の安定性や国民ひとり当たりの所得も南米で一、二を争うレベルです。
また、ウルグアイは人口が少ない分、すべてがコンパクトで、何か話を通す時も意思決定者までつながるスピードが速くなります(ブラジルなど巨大な国では、人が多い分、意思決定者に話が通るまで時間がかかることがあります。更に、意思決定グループがいくつもあり、あるグループと話をしてすべてが決まったと思ったのに、別のグループがそれをひっくり返すということもありえます)。
ウルグアイの人口が少ないことから市場規模としてはアピールにかける側面がある一方、ウルグアイ政府は、ブラジルなど市場規模が大きい近隣諸国への中継地点としての存在感を示すべく、税金などの優遇を受けてビジネスが可能なフリーゾーンの開設や、物流のハブとしてのフリーポートを作るなど投資を呼び込む動きもしています。
また、農業・牧畜業が盛んなウルグアイは、食料の一大生産地でもあり、数年前には日本でウルグアイ産の牛肉が解禁となり、日本で話題になりました。
また、民主主義、腐敗防止への対策、法の支配、透明性、一人あたりのブロードバンド契約、生活の質なども南米トップです。
出典・参考資料(pdf):ウルグアイの投資機会(2019年ウルグアイXXI 作成・公開JETRO HP)
日本でも人気になったムヒカ前大統領は話題になったリオデジャネイロでの演説で「最近、我が国の国民は、より多くの買い物をするためローン支払いを重ねるようになり、支払うことに人生を支配されている」と嘆いていました。
しかし、それでもウルグアイの人たちは、仕事をしつつも、家族や友人、その他大切な人との時間や趣味を大切にするライフスタイルを堅持しており、生活の質、人生のほんとうの幸せを追求する姿勢、という意味では、南米のみならず世界的にも高い水準にあるのではないか、とウルグアイを訪問するたびに思います。
このように、ウルグアイは人口が少ないという側面がありながらも、独自の魅力と存在感をもっています。
そんなウルグアイに関する別トピックスの情報を、次の記事で書きたいと思います。
読んでいただき、ありがとうございました。
<<続く(下の記事へ)>>
コメント