清水エスパルスに新加入のパナマ人FWはどんな選手か? パナマのメディア関係者などに聞いてみた

Jリーグ

 清水エスパルスは8月1日、パナマ代表FWアルフレド・ステファンス(Alfredo Stephens)の加入を発表した。

 現在30歳のステファンスは母国パナマの複数クラブ、ポルトガルのサンタ・クララ、スロバキアのクラブ、ベネズエラの複数クラブなどを経て2024-25シーズンはイスラエル1部クラブで公式戦27試合に出場し8ゴールを記録したが、シーズン終了をもって契約満了となりフリーになっていた。

 清水エスパルスはステファンスの加入に際し、クラブ公式ホームページで反町GMの「パワー、スピード、ジャンプといった高い身体能力を発揮し、マルチプレイヤーとして攻撃を牽引することを期待します。そして、ペナルティエリア内における決定力の高さは間違いなくチームを勝利に導いてくれるでしょう」というコメントを掲載し、同選手の特徴を説明した。

 そんなステファンスについては、情報が限定されておりネットで検索すると以下を含めた複数のプレー動画が見つかるが、試合全体の流れの中でどうなのか見れる資料は少ないため、実際にどんな選手なのか掴みづらい。

■アルフレド・ステファンスのプレー集動画■

 そこで自分は、FIFAワールドカップ・ロシア2018でパナマ代表のチームレポーターを務め、パナマのメディアでも活動するサムエル・マクコリン氏にステファンスの特徴について質問をした。

■サムエル氏のX(Twitter)■

 まず、ステファンスの清水移籍は同氏にとって驚きだったようだ。自分が1日朝、(清水が公式に加入発表する前)『スポーツ報知』がステファンスの清水加入説を報じた直後にサムエル氏にコンタクトをすると、サムエル氏は「どこからその話が出たんだ?」と初めて聞いたという反応を見せた。

 その上で、自分が『スポーツ報知』の記事の内容を伝えステファンスとはどんな選手かを質問すると、サムエル氏は「ポリバレントな(複数ポジションをこなせる)選手だ。フォワードに加え、右ウイングと右サイドバックもこなせる。スロバキアのFC DAC1904ドゥナイスカー・ストレダ、ポルトガルのサンタ・クララ、ベネズエラのアラグアFC、エクアドルのヌエベ・デ・オクトゥブレ、そして最近ではイスラエルのハポエル・イロニ・キリヤット・シュモーナFCでプレーするなど国際的に活躍してきた」と海外経験が豊富であることを説明。

 続けてサムエル氏は「ステファンスはとても献身的な選手だ。すべてのプレーで戦える。ゴールを奪うという点では(典型的なFWと比べると)物足りなさがあるがとても献身的な選手だ」と特徴を説明した。

 そこで自分は「アルフレド・ステファンスは『典型的な9番(センターフォワード)』じゃないんですか?身長は178cmとのことですが(transfermarktなどでは178cmと表記。清水の加入発表では181cm)、フリーランニング、マークを外す動きが得意だったり、『偽9番』タイプの選手になるんでしょうか?また、日本では高い位置からの守備が求められます。つまり、フォワードでさえもプレスをかけるために走る必要がある。ステファンスは献身的とのことですが、それはつまり前からの守備もできるということですよね?」と質問。

 するとサムエル氏は「リーグ戦では、ウイング、トップ下としてプレーしてた。典型的なセンターフォワードという役割ではなかった」と点取り屋タイプでないが複数のポジションをこなせるとし、「彼の献身的なプレーぶりを考えると、彼に守備やプレスを任せるのは問題ないだろう。ステファンスが前からの守備をどのようにこなし、監督の考えにどれだけ適応できるかが大事になってくる。彼は献身的で、守備面で積極的にチームに協力し、守備面での連動性を出せる選手だ。だが、その献身的なプレーゆえにペナルティエリアから遠ざかってしまうことも多い」とステンファンスについて追加説明をした。

 また自分は、サムエル氏とは別のパナマ人のサッカーファン、イバン氏にもステファンスについて質問。するとイバン氏は「アルフレド・ステファンスは多才なアタッカーだ。ただ(典型的なセンターフォワードでなく)セカンドストライカーや偽の9番に近いタイプの選手だね。攻撃の構築や流動性を重視するシステムに理想的だろう。典型的な『キラー』タイプのゴールゲッターではないけど、重要な場面でゴールを決める能力がある。彼は、フィニッシャーとしてよりも、連携、スペース間の動き、攻撃の起点としての貢献に優れている」と説明した。

 現在の清水エスパルスにおいて主将のFW北川航也は今季のJ1リーグ24試合に出場し8得点と悪くない数字をあげているが、現在の北川の役割は若い頃のように高い決定力を生かした「キラー」的なFWというより、前線で良い位置に顔を出し周りの選手たちに流動性を与えつつ、スキあらば自分もゴールを狙うプレーという印象がある。

 そんな北川がピッチに立てないと、清水の前線の流動性が落ちるという印象が自分にはあるが、北川がピッチにいなくてもステファンスがチームに流動性を与えられるのか、もしくは、北川とのツートップの選択肢を出せる選手なのかなどにも注目したい。

 ただ、結局のところ実際に見てみないと、ステファンスがどんな選手なのかわからない。クラブがステファンスの特徴を最大限に活かし、それでクラブが浮上する形を作ってほしい。

 かつて清水に所属したコソボ代表ベンジャミン・コロリは本来はサイドでの攻撃的な役割に強みがある選手なはずなのに、日本人より身長が高いからか、センターフォワードで起用され、窮屈そうにプレーする彼を見て自分は胸が痛んだ。

 そんなミスマッチを生まず、清水の秋葉忠宏監督が求めることに、ステファンスの特徴が動きにハマり、選手とチームが躍動する姿を見たい。

■ステファンスの清水加入を伝えるTIGO SPORTSパナマのX■

 

■アルフレド・ステファンスのプレー動画■

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