2026年10月15日

世界の政治家はどのサッカークラブを応援している? 大統領・首相たちの「推しクラブ」一覧

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世界の政治家とサッカー熱狂の競演

政治の舞台では厳しい表情を見せる大統領や首相にも、応援するサッカークラブがある

大統領や首相も、サッカーの話になると一人のサポーターに戻る。

 

イングランドのアーセナルを応援する英国の元首相、地元クラブを熱心に支える南米の大統領、さらにはクラブの会長となり、経営に深く関わった政治家まで。そのサッカー愛は実に多彩だ。

 

中には、政治的には対立する相手と、サッカーでもライバル関係にあるクラブを応援する人物もいる。一方、家族や憧れの選手の影響でファンになった人や、かつての支持クラブから心が離れてしまった人もいる。

 

世界各国の政治家が公にしてきた支持クラブを、本人の発言や現地メディアの報道をもとに紹介する。

 

※肩書は2026年10月14日時点の現職、または主な旧職。支持クラブは過去の本人発言や報道に基づくもので、現在も同じクラブを応援していることを必ずしも意味しない。

 

◼️欧州・カナダ――アーセナル、マルセイユ、ローマ。首脳たちのサッカー愛

国 政治家・肩書 支持クラブ
英国 キア・スターマー(元首相) アーセナル
英国 リシ・スナク(元首相) サウサンプトン
英国 デービッド・キャメロン(元首相) アストン・ヴィラ
英国 ゴードン・ブラウン(元首相) レイス・ローヴァーズ
英国 リズ・トラス(元首相) ノリッジ・シティ
フランス エマニュエル・マクロン(大統領) オリンピック・マルセイユ
スペイン ペドロ・サンチェス(首相) アトレティコ・マドリード
スペイン ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ(元首相) FCバルセロナ
スペイン マリアーノ・ラホイ(元首相) ポンテベドラ、デポルティーボ、レアル・マドリード
イタリア ジョルジャ・メローニ(首相) ASローマ〈過去にラツィオ支持の発言〉
イタリア ジュゼッペ・コンテ(元首相) ASローマ、フォッジャ
イタリア マッテオ・サルヴィーニ(副首相) ACミラン
イタリア アントニオ・タヤーニ(副首相・外相) ユヴェントス、フロジノーネ
イタリア マッテオ・レンツィ(元首相) フィオレンティーナ
イタリア シルヴィオ・ベルルスコーニ(元首相・故人) ACミラン
カナダ マーク・カーニー(首相) エヴァートン

英国首相たちの意外な共通点

 

英国の政治家の中でも、とりわけサッカー好きとして知られるのが、2024年7月から2026年7月まで首相を務めたキア・スターマー氏だ。

 

アーセナルのシーズンチケットを所有し、政治活動の合間にも試合を観戦。自らもサッカーをプレーするほどの愛好家として知られている。

 

2024年6月の英紙『The Guardian』では、観客席から選手たちに指示を出すようなしぐさを見せ、娘から選手には聞こえないと指摘されるエピソードも紹介された。

 

リシ・スナク元首相はサウサンプトンのファン。一方、デービッド・キャメロン元首相が応援するのはアストン・ヴィラだ。

 

ただしキャメロン氏には、2015年の演説で誤ってウェストハムのファンだと口にしてしまった有名な失敗がある。本人は後に言い間違いだったと説明している。

 

ゴードン・ブラウン元首相は、故郷スコットランドのカークカルディに本拠を置くレイス・ローヴァーズを幼少期から応援。クラブとの関係は単なる観戦以上のものとなった。

 

イタリアでは、首相の家庭内でもローマダービー

 

イタリアのジョルジャ・メローニ首相は、ASローマのサポーターとして紹介されることが多い。

 

興味深いのは、母親のアンナ・パラトーレさんが熱心なラツィオファンであることだ。2025年11月の『la Repubblica』は、母親と娘がローマのライバルクラブを支持している家庭内の逸話を報じている。

 

ただし、メローニ氏自身も若い頃にはラツィオ支持を明言していた。2000年代初頭のインターネット上の発言を『la Repubblica』が検証しており、現在のローマ支持に至るまでに変化があった人物として紹介するのが正確だ。

 

また、ジュゼッペ・コンテ元首相もローマを支持する一人。

 

2019年にはローマの新事務所開設式に出席し、首相としてだけでなく、一人のローマファンとして参加していると語った。ただし、若い頃から応援していたフォッジャへの愛着も持ち続けている。

シルヴィオ・ベルルスコーニ元首相は、さらに深い関わりを持った人物だ。1986年にACミランを買収し、長年にわたってクラブを所有。その時代にミランは国内外で数々のタイトルを獲得した。

 

カナダ首相はエヴァートンファン

 

マーク・カーニー首相の支持クラブは、プレミアリーグのエヴァートンだ。

 

2013年2月12日、カナダ議会の財政委員会に出席した当時のカーニー氏は、英国のどのクラブを応援するのかと質問され、自身がエヴァートンファンであると明言。リヴァプールに親戚がいることがきっかけだったと説明している。

 

この発言はカナダ議会の議事録にも残っている。

 

南米――ボカ、リーベル、コリンチャンス。政治とサッカーの強烈な結びつき

ブラジル――ルーラとボルソナロは宿敵クラブのファン

政治家・肩書 支持クラブ
ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ(大統領) コリンチャンス、ヴァスコ・ダ・ガマ
ジャイル・ボルソナーロ(元大統領) パルメイラス、ボタフォゴ
ジルマ・ルセフ(元大統領) アトレチコ・ミネイロ、インテルナシオナル

ブラジルでは、政治的なライバル同士がサッカーでも異なるクラブを支持している。

 

ルーラ大統領はコリンチャンスのサポーターとして広く知られ、一方のボルソナロ元大統領はパルメイラスへの愛着を示してきた(ナオ、ジャイール・ボルソナーロ氏の息子フラビオ氏は、月末の大統領選の決選投票でルーラ氏と激突する)。。

 

コリンチャンスとパルメイラスは、サンパウロ州を代表する宿敵同士。両者の対決は「デルビ・パウリスタ」と呼ばれ、ブラジルでも特に激しいライバル関係の一つだ。

 

ただし、両政治家には複数クラブとの関わりもある。ルーラ氏はヴァスコ・ダ・ガマ、ボルソナロ氏はボタフォゴの支持者としても紹介されている。

 

2018年9月に『ge.globo』が実施した政治家の支持クラブ調査でも、これらの関係が報じられている。

 

ジルマ・ルセフ元大統領も複数クラブを応援する人物だ。ミナスジェライス州のアトレチコ・ミネイロと、リオグランデ・ド・スル州のインテルナシオナルに愛着を持つことで知られている。

 

アルゼンチン――大統領たちの支持クラブは実に多彩

政治家・肩書 支持クラブ
ハビエル・ミレイ(大統領) ボカ・ジュニオルス〈過去の支持〉
マウリシオ・マクリ(元大統領・元ボカ会長) ボカ・ジュニオルス
アルベルト・フェルナンデス(元大統領) アルヘンティノス・ジュニオルス
クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル(元大統領) ヒムナシア・ラ・プラタ〈ラシンにも愛着〉
ネストル・キルチネル(元大統領・故人) ラシン・クラブ
カルロス・メネム(元大統領・故人) リーベル・プレート
ラウル・アルフォンシン(元大統領・故人) インデペンディエンテ
フェルナンド・デ・ラ・ルア(元大統領・故人) ボカ・ジュニオルス
エドゥアルド・ドゥアルデ(元大統領) バンフィエルド

 

アルゼンチンでは、政治家の支持クラブがボカとリーベルの二大人気クラブに集中しているわけではない。

 

2023年10月、アルゼンチンの『Infobae』は民主化以降の歴代大統領と支持クラブの関係を特集した。そこでは、アルフォンシン氏のインデペンディエンテ、メネム氏のリーベル、ネストル・キルチネル氏のラシン、アルベルト・フェルナンデス氏のアルヘンティノスなどが紹介されている。

中でもサッカーとの関わりが特に深かったのが、マウリシオ・マクリ元大統領だ。

1995年から2007年までボカの会長を務め、クラブの黄金時代を経営面から支えた。カルロス・ビアンチ監督のもとでボカがリベルタドーレス杯やインターコンチネンタルカップを制した時代を、クラブ会長として経験している。

 

一方、アルベルト・フェルナンデス元大統領はアルヘンティノス・ジュニオルスの熱心なファンだ。『Infobae』は2020年、同氏が多忙な政治活動の合間にも試合会場へ駆けつける様子を詳しく紹介している。

 

ボカのファンだったミレイ大統領だが・・・

ハビエル・ミレイ大統領は、もともとボカを応援していた。

 

しかし、クラブの運営方針や選手の復帰を巡って次第に不満を募らせ、ボカへの支持から離れたと説明している。

 

本人によれば、大きな転機となったのはフアン・ロマン・リケルメやフェルナンド・ガゴの復帰だった。

 

さらに、2018年のリベルタドーレス杯決勝でボカとリーベルが対戦した際には、試合の途中から宿敵リーベルを応援。フアンフェル・キンテーロのゴールを喜んだとまで明かしている。

 

この異例のエピソードは『TyC Sports』が本人の発言として詳しく紹介しており、2026年6月にもミレイ氏はボカ会長リケルメのクラブ運営を改めて批判している。

「ボカファンの大統領」と単純に紹介できない理由が、ここにある。

 

ウルグアイ――名選手への憧れでライバルクラブに転向した大統領

政治家・肩書 支持クラブ
ヤマンドゥ・オルシ(大統領) ペニャロール
ルイス・ラカジェ・ポウ(元大統領) ナシオナル、ボストン・リーベル
ホセ・ムヒカ(元大統領・故人) CAセロ
タバレ・バスケス(元大統領・故人) CAプログレソ
フリオ・マリア・サンギネッティ(元大統領) ペニャロール
ルイス・アルベルト・ラカジェ・エレーラ(元大統領) ナシオナル
ホルヘ・バジェ(元大統領・故人) ナシオナル

 

ウルグアイの政治家とサッカーの関係も興味深い。

 

ヤマンドゥ・オルシ大統領はペニャロールのファンだが、父親は宿敵ナシオナルのサポーターだった。

 

本人によれば、幼少期にはナシオナルのユニフォームを与えられ、ナシオナルを応援していた。しかし、1970年代半ばにペニャロールの名ストライカー、フェルナンド・モレーナに魅了され、応援するクラブが変わったという。

 

この話は、現地紙『El País』が本人のラジオインタビューを引用して伝えている。

 

一方、2020年から2025年まで大統領を務めたラカジェ・ポウ氏はナシオナルのファン。子どもの頃には、同クラブで活躍した名GKマンガに憧れ、自身もその名前で呼ばれることを好んでいたという。

 

ただし、ナシオナルだけでなく、ボストン・リーベルにも愛着を持っており、大統領在任中にも同クラブの試合を観戦している。

 

ムヒカ元大統領は「負けることに慣れた」セロのファン

 

2025年5月13日に89歳で亡くなったホセ・ムヒカ元大統領は、モンテビデオのCAセロを応援していた。

 

ナシオナルやペニャロールという強豪ではなく、地元のクラブを選んだ理由について、本人は郷土への愛着を挙げている。

 

2020年のアルゼンチンのラジオ番組では、セロのファンであると説明するとともに、勝てないことには慣れているとユーモラスに語った。

 

ムヒカ氏は少年時代にサッカーをプレーしていたことも明かしているが、熱狂的な観戦者というより、地元への愛着からクラブを支持する人物だった。

 

また、タバレ・バスケス元大統領はCAプログレソの会長を務め、1989年にクラブがウルグアイリーグで初優勝した時代に立ち会っている。

 

サンギネッティ元大統領はペニャロール、ラカジェ・エレーラ元大統領はナシオナルの熱心な支持者だ。

 

2017年には『El País』が両者にクラシコについてインタビューしている。サンギネッティ氏は父親からペニャロール愛を受け継いだと説明し、ラカジェ・エレーラ氏は生まれた直後にナシオナルの会員となったことを語っている。

 

 

日本・アフリカ・トルコ――地元クラブを支えた政治家、アーセナルを愛する大統領

国 政治家・肩書 支持クラブ
日本 河野太郎(元外相・元防衛相) 湘南ベルマーレ
日本 枝野幸男(元官房長官・元立憲民主党代表) RB大宮アルディージャ
ルワンダ ポール・カガメ(大統領) アーセナル
ケニア ライラ・オディンガ(元首相・故人) アーセナル
トルコ レジェップ・タイイップ・エルドアン(大統領) フェネルバフチェ

河野太郎氏は湘南ベルマーレ存続のために尽力

 

日本では、河野太郎氏と湘南ベルマーレの関係がよく知られている。

 

河野氏は2000年から2005年まで湘南ベルマーレの会長を務め、クラブが経営面で困難に直面していた時期を支えた人物だ。

 

英字紙『The Japan Times』は2021年9月、河野氏とベルマーレの関係を特集。地元・平塚を本拠とするクラブへの深い愛着と、存続に向けて果たした役割を紹介している。

 

また、枝野幸男氏は大宮アルディージャと長年関わっている。

 

2012年には当時の経済産業大臣としてクラブの選手激励会に出席。現在のRB大宮アルディージャ後援会の公式サイトにも、個人会員として名前が掲載されている。

 

アフリカの有力政治家にもアーセナル支持者

 

アーセナルの人気は、欧州だけにとどまらない。

 

ルワンダのポール・カガメ大統領は、以前からアーセナルの支持者として知られ、クラブの成績や監督の判断についてSNSなどで意見を発信してきた。

 

また、ケニアで2008年から2013年まで首相を務めたライラ・オディンガ氏も、熱心なアーセナルファンとして知られていた。

オディンガ氏は2025年10月15日、80歳で死去した。

 

一方、トルコのエルドアン大統領はフェネルバフチェに特別な愛着を示してきた政治家だ。幼少期からクラブに親しんできたことを本人が語っている。

 

韓国――クラブ経営者だった大統領も

 

韓国の李在明大統領も、サッカークラブと関わりを持ってきた政治家の一人だ。

 

城南市長時代には城南FCのオーナーとしてクラブ運営に携わった。ただし、この関係は自治体の首長としての立場によるものだ。

 

本人がプライベートでどのクラブを応援するかという問題とは区別すべきため、今回の支持クラブ一覧には含めていない。

 

政治家のサッカー愛に見る、もう一つの素顔

 

今回取り上げた政治家たちのサッカーとの関わりは、実にさまざまだ。

 

アーセナルの試合を追いかけるスターマー氏、地元クラブを支え続けたブラウン氏、アトレティコ・マドリードを支持するサンチェス氏。南米では、ライバルクラブへの憧れから応援するチームを変えたオルシ氏や、古巣ボカへの強い不満を表明したミレイ氏のような人物もいる。

 

そして、ベルルスコーニ氏やマクリ氏のように、クラブを愛するだけでなく、経営者としてその歴史をつくった政治家もいる。

 

故郷への愛着、家族の影響、憧れの選手、あるいはクラブの経営方針への賛否。そこにある感情は、世界中のサッカーファンと大きく変わらない。

 

政治的には全く異なる思想を持つ人々であっても、サッカーへの情熱という点では、同じ一人のサポーターなのである。

 

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