ヴァウド弟アンデルソン、語る。そこからヴァウドの生い立ちも見える。

Jリーグ
Photo : Instagram (@andersonzagueiro_)

ヴァウド弟アンデルソン、ブラジルメディアに語る

清水エスパルス所属のディフェンダー、ヴァウドの弟で、現在はポルトガル1部のFCヴィゼラで、ヴァウドと同じくセンターバックとしてプレーするアンデルソン。

そんなアンデルソンがブラジルのメディアに語った。

アンデルソンが語る自らの生い立ちは、兄である清水のヴァウドと重なる部分もあり、また、兄弟そろって海外でプロサッカー選手という息子を育てた両親の影響など個人的に興味深い記事だったので日本語で紹介したい。

アンデルソンはヴァウドも所属したセルジッペ(セルジッピ)州のコンフィアンサでプロ契約後、名門も含めいくつかのクラブでプレー。

特に、ミナスジェライス州の大都市ベロ・オリゾンテ(ベロ・オリゾンチ)を本拠地とする名門で、ブラジル全国リーグ1部セリエAに属するアメリカ・ミネイロでは主軸として多くの試合でプレーをした。

そんなアンデルソンは2022年1月に初の海外挑戦の舞台としてポルトガル1部のFCヴィゼラに加入すると、その直後に早速スタメンデビュー。

以降コンスタントにポルトガル1部リーグで試合に出場している。


FC ヴィゼラによるアンデルソン加入紹介動画

2022年3月10日付 LANCE ! 電子版 記事「苦難に打ち勝つこと、それは、ブラジルの東北地方出身者が生きる道」

(ポルトガル移籍前の2021年シーズンで)アメリカ・ミネイロの2022年シーズンのコパ・リベルタドーレス出場権獲得に大きく貢献したアンデルソンが、簡単ではなかった幼少時代、父の影響、そして自らの夢について語った。

父から受けた影響。

故郷セルジッペ州ラガルトからポルトガル。

ヨーロッパでプレーするという夢を達成し、先の週末のポルトガルリーグでベンフィカと戦った(1-1の引き分け)ディフェンダーのアンデルソンが、自らが乗り越えてきたブラジルの内陸部で立ち向かってきた困難、自分がどこから来てどこにたどり着いたかなどを語った。

質素な出自

アンデルソンは幼いころから多くの困難や、朝早くからの仕事に満ちた人生を送ってきた。

それは、多くのブラジル人が抱える現実でもあった。

しかし、アンデルソンは自らのサッカーの才能でそれら逆境を乗り越えてきた。

アンデルソンは語る。

アンデルソン:

自分が思うに、人生において全ての物事には理由がある。幼いころ、食べ物を手にできない、遊ぶための何かを手にできない、サンダルすら買えないという状況を目にしてきた。

自分は両親と農場や建築資材場で働いたり、井戸を掘ったりしていた。
こういう困難はブラジル東北地方出身者が直面することでもある。

東北部の人たちはそんな生活には値しないと思う。

けれど困難に打ち勝ち、家族のためにより良いものをつかみ取るんだという強い意志や決意は、自分たちブラジル東北地方出身の人間の特徴だと思う。

両親の誇りとなれるよう、アンデルソンはアマチュアサッカーでプレーした父と、現在日本の清水エスパルスでプレーする兄ヴァウドの足跡をたどるように、セルジッペ州のアラカジュに行き、コンフィアンサのユニフォームを着た。

アンデルソンはプロ契約を勝ち取るまで、両親に生活を支えてもらう必要があった。

アンデルソン:

若いころの父はアマチュアでプレーしていたけど、当時の父を知るみんなは、父がとてもすごい選手だったと言っている。

父は、全ての側面において、自分と兄ヴァウドの自分たち兄弟を作り上げるための影響を与えてくれた。

サッカー界の現実に向き合うこと。決してあきらめないこと。そういうことを教えてくれた。

もしも自分たちが落ち込んでいたら、自分たちと話をするために、仕事を休んでアラカジューまでやってきてくれたんだ。

ポルトガルでの適応

コパ・リベルタドーレス出場権獲得も含め、アメリカ・ミネイロでの素晴らしい数シーズンを過ごし、アンデルソンはヨーロッパでプレーする初めての機会を得た。

アンデルソンは、ポルトガル移籍後最初の数カ月で直面した困難に関し語った。

アンデルソン:

ポルトガル到着直後は難しかった。実際のヨーロッパがどんなものか知らず、不安とともに来た。

気候はブラジルとはとてもちがっていた。寒さにはとても驚かされた。
(インタビュー中、窓を指さし)このあたりは日差しがあるけれど、だからといって暖かいというわけではない。

それでも、こういう経験をできていることに満足しているし、自らのキャリアの中で成長していきたいという気持ちがあるんだ。

ヴィゼラの背番号5番はブラジルとポルトガルのサッカーのちがいについても語った。

アンデルソンによるとプレーのリズムが、南米とヨーロッパの大きな違いの一つだ。

アンデルソン:

ブラジル人は個別の問題を抱える。自分も最初の15日間は監督の哲学を理解するのに苦労した。その後徐々に慣れ、改善していったけれどね。

(ブラジルと比べ)より濃密なリズムで、プレーはより早く、ゴールに直結するよう、縦に向かう意識が強い。

けれど、この経験も、実際にここに来たからこそ体験できることだし、この経験を、自分の成長のため最大限に活用したいと思っている。

より大きな夢

アンデルソンは、父が自分のプレーを見るためにヨーロッパに来ることが難しいとわかっている。

彼の父にとって、長距離の旅行はとても怖いものだからだ。

だからアンデルソンは、家族が今も住むラガルトに毎年帰省し、家族とのつながりを確認するつもりだ。

アンデルソン:

両親のために、ビーチ沿いの家を買ってあげることもできるかもしれない。

けれど、両親はラガルトから別の街に移るという気持ちがないんだ。
彼らは故郷に愛着があり、飛行機で旅行することもしない。

自分たち兄弟が両親に会えるのは、試合が無い休暇の時期だけなんだ。

母は長年の農作業がたたりヘルニアを発症し今は仕事をしていないけれど、父は、今も地道に仕事をしている。

彼らは、家で何もしていない、というのは好きでないんだ。

自らの家族が歩んだ質素な出自を忘れることがないアンデルソンだが、彼には夢がある。

両親とともに働いたラガルトから旅立った27歳のアンデルソンは、高みを目指したいと考えている。

アンデルソン:

自分には、地元に小さなサッカースクールを開きたいという個人的な夢がある。

そこで自分の父が、子供たちにサッカーを教えることができれば、と思っているんだ。それはなんとか達成できるかもしれない。

サッカーのプロ選手としては、ブラジル代表に選ばれたい。
自分が生まれ育った小さな町を出て、ブラジル代表のユニフォームを着るところまでたどり着く。

それが自分にとって一番の夢だね。

尚、アンデルソンはFCヴィゼラと2024年までの契約を結んでいる。ヴィゼラでは試合にコンスタントに出場し、より高い地点へたどり着くためのフライトに乗れるよう、チャンスを最大限に生かそうと奮闘している。

ヴァウドの人間力の理由が少しわかった気がする

自分にとってヴァウドはお気に入りの選手だ。

得点も取れるヘディングの強さ、対人の強さ、シンプルにプレーする姿勢。
自分の前にスペースがあるときには、前にボールを運び相手の陣形を崩す動きなどもできるし、全体的に安定していて良い選手だと思う。

過去に相手フォワードにマークを外されたり、裏を取られたりすることもゼロではなかったが、とはいえ、世の中に、シーズンを通して一度もマークしている選手を外さず、点を取られなかった的な完全なディフェンダーなんて存在しないに等しい。

ヴァウドは、自分にとっては、堅いプレーをする安定したセンターバックだ。

更に、インタビューやファンへの対応、表情やしぐさなどから、人間的にもとても素晴らしい人物だということが伝わってくる。

そんなヴァウドの弟のアンデルソンが語ったヴァウド家のエピソードを通じ、ヴァウドの謙虚さや礼儀正しい人間性などの理由が少しわかり、とても興味深かった。

また、もしもヴァウドと弟のアンデルソンがエスパルスでセンターバック2枚を組んだしら、兄弟だけあって似ているし、すごいインパクトだな、と妄想したりもしてしまった。


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