2026年10月14日

VAR無しのアルゼンチン2部で前代未聞の「スマホVAR」騒動! 選手が携帯電話で映像を見せ、主審がPK判定を撤回…試合は23分間中断

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CeluVAR

アルゼンチン2部で、主審がスマホ映像により判定を変えたのではないかと物議を醸している

アルゼンチン2部リーグのプリメーラ・ナシオナルで、前代未聞の判定騒動が発生した。

 

10月12日に行われた第33節、オール・ボーイズ対ゴドイ・クルスの一戦で、主審が一度はPKを宣告したものの、選手らがスマートフォンでリプレー映像を提示した後に判定を撤回。試合が約23分間にわたり中断する異例の事態となった。

 

この出来事は、携帯電話を意味するスペイン語の「Celular」と「VAR」を組み合わせた「CeluVAR(セルVAR)」と名付けられ、アルゼンチン国内で大きな話題となっている。

 

現地紙『Olé』『LA NACION』、スポーツメディア『Infobae』『El Gráfico』などが一斉に報じている。

 

◼️試合終盤に疑惑のPK判定…退場した選手がスマホを持って抗議

 

騒動が起きたのは、ブエノスアイレスのエスタディオ・イスラス・マルビナスで開催された試合の後半43分だった。

 

0-0のまま迎えた終盤、ゴドイ・クルスのFWアクセル・ロドリゲスがペナルティーエリア付近で倒されると、ニコラス・ラモリーナ主審はオール・ボーイズのDFイバン・サファラーナによるファウルと判断し、PKを宣告。さらに決定的な得点機会を阻止したとしてサファラーナにレッドカードを提示した。

 

ところが、テレビ中継のリプレー映像では、接触がペナルティーエリアの外で起きていたことが確認できた。

 

◼️判定はエリア内のファウルでPKだったが、実際のファウル地点はエリア外だった。


判定に納得できないオール・ボーイズの選手たちは主審を取り囲んで猛抗議。退場を命じられたサファラーナもスマートフォンを手にピッチへ戻り、リプレー映像を主審に見せようとした。

 

◼️スマホ画面で主審にアピールする様子

さらに、クラブの元幹部エクトル・カプーロも携帯電話を持って審判に近づく場面が確認された。

 

 

この混乱のなか、オール・ボーイズのファビアン・ナルドッサ監督も抗議によって退場処分を受けた。

 

そして約23分間の中断と審判団による協議の末、ラモリーナ主審はPK判定を撤回。ゴドイ・クルスのフリーキックで試合を再開することを決めた。なお、サファラーナに対するレッドカードは取り消されなかった。

 

後半は77分まで続き、試合はそのまま0-0で終了した。

 

◼️主審は「スマホの映像を見ないよう努力した」と釈明

 

ただし、今回の騒動については、判定変更にスマートフォンの映像が実際に利用されたかどうかが争点となっている。

 

『LA NACION』や『Infobae』などは、主審に携帯電話の画面が示された後に判定が変更された経緯を報じている。

 

一方、ラモリーナ主審は試合後、アルゼンチンのスポーツ専門局『TyC Sports』の取材に対し、携帯電話の映像を根拠に判定を変更したという見方を否定した。

 

主審によれば、当初はファウルがペナルティーエリアのライン上で発生したと認識していたが、副審のアグスティン・メンデスから判定について確信が持てないとの指摘を受けていたという。

 

その後、改めて副審に確認したところ、エリア外でのファウルだったとの判断が示されたため、PKを取り消したと説明した。

 

また、ピッチ上でスマートフォンの映像を見せようとする動きがあったことについて、「携帯電話の画面を見ないように大変な努力をした」と釈明。

 

「私は携帯電話を見ることはできなかった」「副審の判断だけを頼りにした」と述べ、外部の映像によって判定を変更したことを否定している。

 

しかし、選手やクラブ関係者が携帯電話を主審に提示し、その後に判定が覆ったという一連の出来事は、現地メディアで大きな議論を呼んでいる。

 

◼️VARがないリーグでの「スマホ判定」は競技規則違反になるのか?

 

プリメーラ・ナシオナルでは、VARが導入されていない。

 

そのため、主審が携帯電話の映像を用いてプレーを確認し、判定を修正したのであれば、正式なビデオ判定手続きとは異なる方法で判定を変更したことになる。

 

『Infobae』に寄稿した元国際審判員ミゲル・シメ氏は、この問題を競技規則の観点から分析している。

 

同氏は、審判が副審の助言によって自らの判断を修正することは認められるものの、正式に承認されていない映像を根拠に判定を覆した場合、重大な手続き上の問題が生じると指摘した。

 

仮にそのような方法を認めれば、選手や監督、クラブ関係者がそれぞれ用意した映像で審判の判断に影響を与えることが可能になり、判定の独立性や競技規則の統一性が損なわれかねない。

 

つまり、今回の問題はPKを取り消したこと自体ではなく、何を根拠に判定を変更したのかという点にある。

 

現時点では、主審自身がスマートフォンの映像を確認したという事実が確定したわけではなく、競技規則違反があったと断定することはできない。

 

◼️実はこの試合、もう一度疑惑のPKがあった

 

さらに、今回の試合では「CeluVAR」騒動以前にも不可解な判定があった。

 

後半23分、ラモリーナ主審はオール・ボーイズのエミリアーノ・プリタによるハンドがあったとして、ゴドイ・クルスにPKを与えた。

 

しかし、『LA NACION』などの報道によれば、実際にはボールが選手の頭に当たっており、ハンドではなかったという。

 

ゴドイ・クルスのマルティン・ピノがこのPKを蹴ったものの、シュートはクロスバーを直撃。ゴールには至らなかった。

 

結果的にゴドイ・クルスには試合中に2度のPK判定が与えられたが、1度目は失敗、2度目は判定の撤回となり、得点につながることはなかった。

 

また、試合開始前にはスタジアム周辺で一部サポーターと警察の衝突が発生。8人が拘束されるなど、キックオフも約30分遅れていた。

 

ピッチ内外でトラブルが相次いだ一戦は、スコアレスドローという結果以上に、異例の審判騒動が注目を集めることになった。

 

今回の「CeluVAR」は、技術的には正しい判定に修正されたとしても、その過程が競技規則に従っていなければ新たな問題を引き起こすという、現代サッカーの審判制度における難しさを浮き彫りにした。

 

アルゼンチン2部リーグで発生したこの珍事は、VARがない環境で映像技術と審判の権限をどのように扱うべきか、改めて議論を呼びそうだ。

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